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拙作メモの【呪縛】の続きをいただきました・・・!

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うたげさまより。
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◇◆◇

右手、右足の石化。
それは、魔界で闘った三人目の魔王からの、最期の呪いだった。

ギリギリのところでポップが助けてくれたから、完全な石化は防げたけれど。
右側の手足が動かせなくなったことは、とても辛い。
今まで普通にこなせていたことが、普通にできなくなるんだから。
翼を失った鳥は、こんな気持ちになるのかな?

しかも、その呪いは少しずつ広がっておれの体を蝕んでいく。

このまま呪いが進行すれば……待っているのは、死、だろう。

あの頭の良いポップが、毎日毎日、解呪の方法を探して。
それでも、糸口さえつかめない。

ポップが焦っているのは、明らかだ。
言葉には出さないけれど。

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療養という名目で、人目を忍んでポップと二人で過ごす日々。

今、ポップの世界はおれだけだ。
おれだけを見て、おれのためだけに。

それだけで、死んでもいいと思える程、幸せで。

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ずっと、ポップのことが好きで好きで好きで。
親友としてのおれを捨てられない優しさにつけこむようにして、思いを受け止めて貰えて。
ずっとおれのそばに、束縛してきてしまっていたけれど。

おれさえいなくなれば、ポップは自由になれる。

焦燥を隠して、おれを元気づけるために、無理に明るく振る舞わなくても良い。

「自由になってよ、ポップ」

それは、紛れもなく、おれの本心。
このまま呪いによっておれの命が尽きるとしても、最期の時まで、ポップはおれのものでいてくれるんだろうから。
それだけで、もう十分。

「愛してるよ」

この言葉が、さらにポップを縛り付けることはわかってる。

わかっているんだけれど。

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言わせて。

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伝えたいんだ。

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本当に、幸せだってこと。

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おれは、おまえに、こんなにも大事に想ってもらえてるんだよね。

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だから、苦しまないで。

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右手と右足は動かせなくなったけれど、おれにはまだ左手と左足がある。

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目も見える。
耳も聞こえる。
話すこともできる。

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愛することも。

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できなくなったこともあるけれど、できることだって、まだたくさんあるんだ。
おれは、右手と右足が動かないおれのままでも、最期の時まできっと幸せなまま生きていけるよ。

だから、泣かないで。

おれと一緒に、最期まで笑っていて。

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ポップの涙を拭い、ぎゅっと力をこめて、片腕で抱きしめた。

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二人は、まだ、知らない。
これは、とある古文書に書かれた詞。

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―――呪いとは、跳ね返そうとするからこそ、消えぬもの
呪いを呪いとせず、我がものへと受け入れたとき
呪いは“呪い”としての意味を失うだろう―――

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希望はいつでも、目の前にある。

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【終わり】


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うたげさま、またまた素敵なSS本当にありがとうございます!
幸せ補完計画していただいて、とってもハッピーエンドな未来を信じられる明るい終わりとなりました。

読んだ時ぼろ泣きでしたよ!
現状を受け入れあるがままで、ポップと共に生きる穏やかだけど熱いダイがかっこいいです!

また是非とも補完計画発動したら、よろしくお願いいたしますv

〉ルドルフ

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2009/10/27

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