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「ねぇ。ポップは?どう思う?」
真っ直ぐな視線。目を逸らすことも許されない質問。
「お前、言うこと分かって聞いてるだろ。」
ほんの少しの溜息。
「うん。」
近づいて両手を取られる。
瘴気の渦が取り巻く場所だというのを忘れそうなほど、
穏やかな現状。
そうだ。目の前に見えるのは紛れもない希望。
目がくらむほど、それしか見えない。
竜の神は言った。
『竜の騎士の存在そのものが均衡を破るものになりえる現状では、
その歴史を一度終焉させる。そう決められている。』
魔界での戦いも終わった今。
もう、役目を終えたその存在は再び均衡が崩れたときにのみ新たに生み出される。
何度も読んだ古文書にも。
魔界で読んだ、歴史を綴った書物にも書かれていた事実。
『だが、人間はいらない。』
「ど、どうゆうことだ?」
真意が分からずに、尋ねた。
頭に一瞬浮かんだのは、都合のいい願望。
『わかって聞いているんだろう。お前は。』
そう言いながらも続けて、『竜の騎士は返してもらうが、人間はいらぬ。と言っている。
もちろん、拒むならそれでも構わない。』
今まで通り、するまでだ。
そう言われて、思わずダイの手を引いた。
「・・・・?ねぇ、どうゆうこと?」
首をかしげている。
本人がこれだ。
なぜだか分からないが、少し安堵している自分を感じて
それを恥ずべきことなのか。と考えた。
「つまり、竜の騎士の力だけ。竜の騎士の血だけ返還するってこった。
半分。もともと、お前は人間の血の方がつよい。
だから、普通の人間になるってことだよ。
普通の人間になるってことは、ココにはいられないってことだ。
つまり、帰れるってことだ。」
それは、ダイにとっては父との離別にもなるんだろうか。
とか、慮る気持ちよりも歓喜の気持ちが大きいことを伝えたら、
軽蔑するだろうか。
ダイはきょとんとした表情の後。
「いいの?」
と聞いた。
「それでも、いいの?俺が普通になってもそれでもいいの?」
周りの仲間が頷くのを確認してから、聞いた。
「ねぇ、ポップは?どう思う?」
答えなんか本当は分かってるくせにきいてやがるんだ。
「ねぇ、もう一度言ってよ。
言って、俺にソレを分けて。」
瞬間胸元を見られて、輝聖石のことを言っていることを理解する。
竜の神の前でまるで誓うように、両手を掴んで覗きこまれる。
神の前で、誓いを立てる婚姻の儀式のようだと意識して余計に体が熱を帯びた。
「ね。お願いだから。」
いつからだろう。
こんな風になったのは。
いつからだろう。
こんなことを考えるようになったのは。
いつからだろう。
口には出せない想いが積もって。
いつからだろう。
こんなに溢れるようになったのは。
いつからだろう。
他の誰も段々と思いださなくなったのは。
いつからだろう。
身長を抜かされた時から?
ここへ堕ちて(来て)から?
共に闘うようになってから?
いや、もっとずっと前から?
目の前には変わらない表情で、純粋で真っ直ぐな視線。
きっと、知らないんだろう。
まだ、ただの綺麗な友情でここまで来たと信じているんだろうか。
そうさせたのは自分だろうか。
どこからずれていたのだろうか。
あの時と同じようにはもう言えないことを知っているのだろうか。
どこか、違う響きになりそうなその言葉を。
慎重に。
両手を繋がれたまま。
真っ直ぐ目を射られたまま。
神の前で誓う。
「ダイは、ダイだ。」
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〈了〉
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神楽様!素敵に萌え転げるP→DをSSありがとうございます!!
リクエストOKとお聞きして飛び付きました〜!
しかも神楽さんはヒュンポプスキーなのに、心良くダイポ書いてくださりめちゃくちゃ嬉しいです!
もうもうポップがダイ好きすぎて、かわいいです…っ。
そのまま竜の神様に、「オレ達結婚します」って誓えばいいよ!とじたばたしました。
またよろしくお願いいたします!(え?)
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>ルドルフ。
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2009/5/18
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