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この部屋の話は、世界設定、性格捏造、文章崩壊、お馬鹿でたまに下品です。
キャラのイメージを壊したく無い方はお避け下さいませ。

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【●っぱいでしっぱい・中編】

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夕刻城門から城内に続く広い路は、閉門の時間を迎えて人がかなり多い。

城下町やら郊外から登城している者、または城での住み込みや宿舎に戻る者が急ぎ足で往き来する。

外から帰って来るはずのダイを、レオナへ報告しに行く前にエントランスホールで捕まえようと、
急ぐポップを呼び止めたのは、ホールに繋がる大扉の警備をしている兵だった。
「ポップさん、ダイ様がつい先ほどお探ししてましたよ」

「え、マジかよ〜すれ違いになっちまったか」

高官であるポップに下位の兵が親しげに話しかけるのは、
ポップが元来の人懐っこい性格で、官位の順位にこだわらず付き合いがあるせいだ。
ダイ失踪後の復旧時に同じ釜の飯を食べていた事もあり、
庶民出の英雄として民の人気や親しみ度も高い。

一年前ダイと共にパプニカ城へ正式に奉職した後も、

「様なんて呼ばれるガラじゃねぇから!背中が痒くらぁ」

と本気で嫌がった事があり、しかし呼び捨てにするわけにもいかず、今に落ち着く。
流石に公式の場では、「大魔道士様」とか「ポップ様」と呼ばれるが、それは致し方なく諦めた。

ちなみにダイに関しては、暗黙の了解のように
「レオナ姫の婚約者候補」ともされている雰囲気があり、
恐れ多くて「様」付けとなっている。

ダイ自身は常々それを止めて欲しいと思っているのだが、
民意の勇者像を無碍に出来ないと言われれば、
そうかなと真面目に受け取ってしまう素直な性格だった。

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それはさて置き、呼び止めた声の方へ振り返ったポップを見て、
兵士がハタと目を見張らせる。

「あ…っもとに戻られたのですね」

「へ?」

「あ、いえ…その」

本気で間の抜けた顔をしたポップに、
兵士はちょっと言いにくそうに視線を逸らした。

その視線を点々と辿って、行き着いた先を知ったポップの顔に瞬間紅が登った。照れ隠しに兵士の背中をバシバシと叩く。

「そりゃ!何時までもあのまんまじゃカッコつかねえもんよ〜。
今まで気持ちワリィもん見せてて災難だったな!」

「え、そうですか…もったいな…いえいえ何でもありません!」

もごもごと口ごもる相手を不審そうに見やったが、
自分が何の為に呼び止められたかを思い出した。

「おっと、いけねぇ。俺はダイ探してたんだった」

「ダイ様は部屋に行ってみるとおっしゃってましたよ」

「そっか、さんきゅ―な!」

もと来た廊下を回れ右して去るポップの後ろ姿を見ながら、

「勇者様は胸が小さい方がお好みだったのかな」

などと呟かれた兵士の言葉は、幸いか不幸か聞こえぬままだった。

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「なんだよダイのヤツ、急に」

半時もしない内に自分の部屋へととんぼ返りをすることなったポップは、
自分を棚上げしてダイに文句をつけつつ自室への階段を登る。

そろそろ夕飯時にさしかかり、腹が空いた処で城内を上へ下へと運動させられたダイに、不機嫌の先矛が向く。

「よし、罰としてダイに飯を奢らせてやる」

確かに4ヶ月前の告白事で少しギクシャクしていたとしても、
ポップがダイを大事に思っている事に変わりは無いし、

一緒にいて話をすれば誰より気楽で楽しい。

《ダイ》とゆう存在が、ポップにとって不可欠である事は揺るぎない。

「身体ももとに戻ったしな、この辺でケリつけてすっきりしたいもんだぜ」

何かあったらしいダイとレオナとの仲を取り持って、
すっかり問題解決した後、ダイには詫びを出汁にして、食事と酒をたかってやる。とポップは一人ほくそ笑んだ。

(城門が閉まってても窓からトベルーラで抜け出して、夜の城下町に降りればいいしな)

そう考えると気分も上向きになり、足取りも軽くなる。

城内では夜ともなると殆ど人が通らない来賓の階の、
更に奥まった角にあるのがポップの部屋にたどり着き、扉を開いた。

ここはダイを探している間に拠点として借りた、
一番簡素で使わない部屋を今でも変わらず使用していてる。

だが当然ダイが待っているものと思い込んでいた室内が、
暗いままのことに小首を傾げた。

「ん?ダイ、いねーじゃん」

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その時カタリと音がして、びくり、と一瞬ひるむ。

「…ダイか?」

ようやく暗がりに目が馴れてくれば、
灯りも点さず、机の近くにダイが佇んでいる。

見知る相手と分かって、ポップは逆に腹が立ってきた。

何で自分の部屋で後込みをしなければいけないのか。

「何灯りも点けずに突っ立ってんだよ?」

怯えた事が気恥ずかしく、少し乱暴に言いつつ、無言でいるダイの背中に近寄った。

しかしそれでもダイは振り向かない。

「おい」

流石に二度も無視されれば頭にくる。

がっしりした左肩に手をかけた時、
急に凄い勢いでその手首を捕まれ引っ張られた。

「っ?!」

気が付けば、ダイの堅い胸板に頬を押し付ける形で抱き込められていた。

「…なっ?ダイっ?!」

「…た、のに」

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ポップの混乱気味の声に、ダイの呟きが重なった。

「え?」

顔を上げるとすぐ息が触れ合う近さで、ダイの顔があった。
何時もは快活に明るい瞳が、今は夜の闇色を写して、暗く深い。
その目がポップを飲み込むように覗き込んでいた。

「側にいてくれるって、…言ったじゃないか」

「は?何のはなし…」

要点が見えない。

問いただそうと口を開いたところ、
ダイの大きな左手が逸れを遮りその勢いのままに、壁へ背を押し付けられた。

「―ぅぐッ!」

剣を握る硬い掌がポップから言葉も呼吸も奪って、
混乱が収まらない中両手で腕を外そうとするがビクともしない。
まるで、標本台に張り付けられた蝶のような状態を非難するため眼差しだけでダイを睨めば、
闇に浮かぶ金の双眸へ逆に射竦められた。
それに内情された感情は、酷く怒っているとゆう事。

「この間みたいに、呪文唱えられたらやっかいだからね」

そしてそう告げた後伸ばされた右手が、ポップの喉に伸ばされて高襟の法衣に指を掛け、
垂直下へ無造作に引いた。

「うぅッ?!」

それなりに上等な厚手の生地が、紙の様に容易く軽い悲鳴を上げて引き裂かれる。

二つに割れた上衣の間から暴かれた、陽を受けない胸元や腹部が白く闇に浮いた。

「ポップがそうなら、おれだって…」

するりと服の内側に忍び込む指に躊躇いは無く、
逆撫でに脇腹から上を目指す。

「む―ッ!んぐっ!う〜」

その背筋が泡立つ感触に、
ポップの脳裏には、4ヶ月前に起こった出来事がフラッシュバックした。

床へと組み敷かれた体の下で、抵抗も虚しくダイの手を止められなかった。

只あの時は、
ダイも自分自身の感情に、混乱した弾みでの暴挙であったのに対し。

今ポップを押さえるダイは…
冷静に、目的を持って、ポップを捉えている。

ポップの意識を無視して、言葉も聞こうとせず。

少なからずショックを受けたが、
何とか事態を変化させようと、詠唱無しでの呪文を発動させるため片手に魔力を集合させる。

「許さないよ」

魔力の気配を感知した一瞬の内に、
ポップの両手首はダイの左右の掌に拘束され、

「ダ……!」

名を呼ぶ間も無く、

ダイの口付けによって、ポップの声は再び閉じ込められた。

信じられない出来事に、目を見開いたままポップは放心する。

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《何時までも待つ》

そう言ったダイの苦しみを省みる事無く曖昧に放置する。

ダイはこんな事はしないと、どこかで無条件に信じていたのだ。

―――それが如何に甘えたものでダイにとって残酷か、見ない振りをして。

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それに気が付いた時、
自分の愚かしさが情け無くて、
胸の奥が引き絞られるような苦痛を感じた。

鼻梁の奥が痛み、きつく綴じた瞼の裏が熱を持ち、
対極に血が引き冷えて青白い頬には雫が幾筋も伝って流れた。

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【続く】

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2009/10/28

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