★ ありがとうございます!1周年 ★

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柴崎様より賜わり物

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Congratulations on the 30,000hit anniversary of your website !!

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【sense of distance】

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黒々と太い眉の下、じっと見上げてくる大きな丸い瞳は淡い茶の色で、それはかれの感情が凪いでいる証だ。
ふにふにとした柔かな丸みを帯びた頬の上に残るバツ字の傷はどこか子供っぽくも溌剌とした快活さを印象付けて、
緩い弧を描く口元に素直さが見える。

「おれ、ポップのことが好きだよ」

その、年齢以上に幼い容姿や口調に、衒いない言葉は邪まさの欠片も持ち合わせていないけれど、
この好意が何の熱も持たないものではないことを言われた本人が1番よく知っている。

「…っ、お前なぁ…」

咎めようとした言葉が、途中で崩れる。
凛々しくも強い眉がその端を僅かに下げ、笑顔は変わらぬままなのにふとその間に薄く谷を刻んでいたからだ。

「ごめんね、でも言いたかったんだ」

胸の中心よりも少し左の辺りが、きゅう、と軋んで、ポップは新緑色のグローブに包まれた手で黒地の前当てを握り締める。

握る指先に添って刻まれた陰影の、光に淡く滲む部分が薄っすらと翠を含み、深い闇色に沈む部分は一層に黒を強めた。

「…謝ること、ねーよ…」

ポツリと零した言葉にその哀しげな眉は晴れて、まるで褒められた仔犬のような笑顔が咲いた。

「ポップ」

視界でひらひらと踊る陽追花色のバンダナの端が、短くて先の丸い指に捕らわれる。

「…なんだよ」

出来るだけ平静に返す言葉は少しだけ震えて、見上げてくる顔が随分と近いのに少しだけ、頬へ熱が燈る。

「………だいすき」

くい、と引かれた布端に引かれて俯いた顔に、笑顔のままのダイの鼻先が触れて、慌てて目を閉じた。
ぎゅう、と力いっぱい瞑る目蓋に眉根が寄って、噛み締めた唇にふと、触れる呼吸。
ポップよりもずっと高いダイの体温で2人の間の空気が温んで、頬に触れる温度が変わる。

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あとほんの少し、互いの体温だけが馴染みあう空気を震わせて、ダイの少し舌足らずな声が「ほんとだよ」と囁いた。

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なんと柴崎様から一周年&三万打祝いにSSを戴きました!!!
しかもトップ絵にちなんだお話ですよ?!うひゃー嬉しいっ!
仔犬なクセにオトコマエなダイにどきどきしました。
純粋で素直な言葉ってポップには一番効くんですよね!!
本当にかわいいお話ありがとうございます!

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〉ルドルフ

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