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ifの選択

魔界に向かう方法
その4、偶然出来て数刻で消える空間の歪みに落ちる事。

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【水面の底で見る夢】

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風を切る鋭い音が耳元に轟と渦巻く。

もっと高く、もっと速く!

誰にも届かない、宇宙(そら)へ。

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.神を連れて。

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もう誰も、

誰の哭く姿も見たくない。

ヒトでありたいと願った。
でも人でないこの身体と魂。

何故太古の竜と神と魔族は

自分達に人の心を植え付けたのか。

今なら判る。

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人間はその心のままに限界無く高まってゆける。

自分の親友がそうであるように、無限を持つ。

真っ直ぐ蒼穹へ駆け上がりながら、振り落とした『彼』を思う。

その自分に向けられた叫びは尾を引いて遥か地上へ。

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…ああ。

ポップ。

もしも、

もしも許してくれるなら、

次の生もお前の隣に歩みたいよ。

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ふと微笑んだ瞬間、死神の時限は弾けた。

闘気を全開にし、膨れ弾けた黒い灼熱を抑え込む。

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――余波でさえ届かせやしない、全て俺が連れて逝く――

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膨大な二つのエネルギーがぶつかり合って、空はねじ曲がる。

蒼の中に混じる黒。

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空は裂けた。

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「…」

…生きてる。

瞳を開いたダイは自分が冷たい大地に横たわる事を知った。

現実味が無くて、転がったまま目の前の指先を弛く開け閉めしてみる。

身体の中に響く命の音が分かる。

「俺――生きてるんだ」

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ダイは僅かに上半身を起こした。

空が暗い。

夜だろうか?

自分は知らない間に、時の帳は降りてしまったのだろうか。

どうして自分は独りでいるのだろう?

当然在るべき姿が、側に無い。

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遠くはぐれてしまったのだろうか。

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「ポップ」

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応える声は無い。

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変わりに障気を含んだ厚い雲から雷鳴が轟いた。

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「…ポップ…ッ」

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静かすぎる大地。

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何処だ?此処は。

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良く確かめなければならない気がしたが、
今は身体に残るダメージが大きすぎる。

思考は散々になり、瞼は閉じられる。

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荒涼たる世界の中で独り、

ダイは永遠に昇らぬ太陽を待ちわびて眠りに堕ちた。

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【終】
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2008/6/26

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