.

.

.

.

.

全然ユルめですが、それっぽい内容なのでワンクッションを。

ご注意下さい。

( 黒鉄×金剛 )

だいじょうぶな方のみスクロールを。

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

..

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.


【福音】

触れた所から溶け込む雪の様に、体温で身体は境界を無くした。

キツく閉じすぎて震える瞼を指先が慰める様に撫でてゆく。

痛みはとうに麻痺している。

只、形容しがたいうねりが支配するその事を上手く伝えられなくて、背中に爪を立てて縋ったら、

微かに反応が返って来た。

意味があるか、そんな事は今はどうでも良い。

熱を交ぜ合い隙間を埋めてゆく。

互いを繋げているものはわからない。

無くしたものを持つ、共有の感傷かも知れなかった。

目を開ければ奈落の瞳が覗き込んだ。

ああ、絶望している。

罪を追う眼。

きっと自分も同じ眼をしているに違いないと思った。

母はこの身と引換えに命を喪った。

父の存在は元より知らない。なのに、髪も瞳も身の内に取り込んでいる。

罪深いのは自分だ。

ならば。

この胸に湧く想いは、憧れより強い想いは。

…に違いない。

再会と抱擁は何を意味するだろう。

忌みする何かを指すのだろうか。

それでもこの刻は互いの中で新たな罪となり、何時までも血を流し続けるに違いない。

溶け合いながら呟かれた言葉を覚えている。

「灰は灰に、塵は塵に、しかし俺は帰る場所を失ってしまった」

熱に浮かされながら思う。

『還る処を失ったならば、ここに還ってくればいいのに。』

しかし今の一時だけは互い以外の全てを忘れてしまおう。

再び旋律は繰返される。

奔流に飲み込まれながら、微笑んで瞳を臥せ名前を呼んだ。

確かに存在が在る事を、報せる為に。

【終】

.

.

- 2007.03.24 -

.

ブラウザの戻るでお戻り下さい

.

.

.

.

.

.

.