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金剛の過去設定捏造注意です。
苦手な方は閲覧ご注意下さい。
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だいじょうぶな方のみスクロールを。
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言霊は残る . . 【鬼譚】 . . 「普通になりなさい」 身体の中には何時でも疑問が吹き荒れる。 狭い集落は閉鎖的で、自分の居場所など、何処にもない。 金剛は何時ものように家の裏山を不規則に登った先にある岩場に向かった。 静まりかえった無機質な世界は、あの遠巻きに無言の目線が突き刺さる教室よりよっぽど楽しい。 ここは自分と、余程の年寄りしか知らない場所だろう。 軽く一軒家程もある水平な大岩によじ登る。 静かに頭の芯は冷えていくのにつれて、腹の底からやり場のない感情が熱となって溢れた。 どうして。 「ーはッ!」 拳を振り降ろす 眼下の岩はゆっくり亀裂が入る。 有り得ない。 この力。 「毅くん、あなたは普通じゃない」 瞳の奥に怯えを映した大人。 人が言う理屈がわからない。 狙い澄ました一点の箇所を砕く、この瞬間は心地いいがたったそれだけ。 「鬼」 辞書で調べた。 何で。 父も、母も、当たり前の様に足るべきものが自分には無いのだろう。 でも、本当は怖い。 それを聞くまでは真相は真実たりえないから、どんな酷いことを他人から言われても 「強くなればへいき」 心のままにこの拳を振り上げたならば… しかしこの黒い衝動を、金剛は何時までこうして発散させておけるか、自信が無かった。 「あのこは鬼子だから近付いては駄目だよ」 金剛が通う小学校もある。 自分が本当に鬼ならば、あそこに見える場所は居場所ではないのでは無いんじゃないか。 自分が居なくなれば、祖母はあの哀しげな顔をしなくて済むのでは無いだろうか。 夕闇は小さな町を呑み込もうとしている。 ぶるっと背中が冷えた。 「毅、夕飯が冷めるまでには帰っておいで」 もしこのまま帰らなければ。 いつか憎しみのままに誰かを傷つけずにいられる。 本物の鬼にならずにすむ。 . 小さな岩場を器用に飛び降り、地面に降り立つと放り出してあった通学用にしているバックを拾い上げる。 山の闇は濃くて速い、飲み込まれると帰り道さえ危うい。 その時、何かの気配に後ろを振り向いた。 . …その時起こった事を、何と言えばいいか。 とても、とても衝撃が走った。 あの化け物の事でもなく、不可思議な戦いでもなく 自分に向かって躊躇いもなく差し伸ばされた手。 この姿を見て、何事もなく普通に笑い掛けたその大人。 今までのいじけた自分が恥ずかしくなって、そして憧れた。 きっとあんなに強いかったら、何も怖くなどないに違いない。 強引に弟子になって、証しに渡された大きな釘はズシリと重く いつか、 何にも負けないように強くなって。 次に師匠に会ったなら伝えよう。 . そして、誰かに手を差し伸べる。いつか、自分も。 この力はその為にある。
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- 2008.02.18 -
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